2016年末に解散した人気グループ・SMAPの元メンバー3人のテレビ出演を巡って、大手芸能事務所のジャニーズ事務所がテレビ局に対し出演させないよう圧力をかけた疑いがあり、公正取引委員会は独占禁止法違反の恐れがあったとしてジャニーズを注意した。関係者が取材に明らかにした。公取委は、過去に映画会社同士が俳優の引き抜き防止などを取り決めた「五社協定」を巡り調査した例があるが、移籍トラブルを巡り芸能事務所に注意したのは初めてとみられる。
関係者によると、公取委は、ジャニーズが独立した3人をテレビに出演させないようテレビ局に圧力をかけた疑いがあったとして調査。直ちに独禁法違反になる具体的な行為は認められなかったが、違反につながる恐れがあったと判断したという。注意は未然防止の観点から出され、文書や口頭で出される場合がある。今回は独禁法で禁じる「取引妨害」に当たる恐れがあったとみられる。
独立や移籍を巡り芸能人が所属事務所とトラブルになるケースが相次いで発覚したことなどを受け、公取委の有識者検討会は18年2月、芸能人やスポーツ選手、フリーランスで働く人の契約のあり方について、移籍制限などが独禁法で禁じる「優越的地位の乱用」の恐れがあるとした報告書をまとめた。今年6月には、陸上の実業団所属選手の移籍制限は独禁法違反の可能性があるとして、日本実業団陸上競技連合に抜本的な規定改正を要請するなど、監視を強めていた。
SMAPの解散後、メンバーのうち稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人は17年9月にジャニーズとの契約を終了し、独立した。木村拓哉さんと中居正広さんは現在もジャニーズに所属しているが、独立した3人は、テレビのレギュラー出演がほとんどなくなっていた。
SMAPの解散騒動は16年初めに表面化。いったんはメンバー全員がバラエティー番組に生出演して謝罪し、グループ活動を続けていく考えを表明したが、同年末に解散した。
【渡辺暢、奥山はるな、鈴木理之】
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2019-07-17 14:05:53Z
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