“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
いよいよ、秋本番。中高一貫校では文化祭シーズンである。中学受験を考えている親子のほとんどが、この文化祭に足を運んでおり、一方、学校側も、予約制のところを含めると、ほぼ全てが中学受験生の見学を歓迎している。中学受験の世界を知らない人にとっては、「文化祭で何がわかるの?」と思うかもしれないが、学校を隅々まで見て回れるので、学校選びの生きた参考資料としては、これ以上ないほどの好機なのだ。
この時の印象で志望校を決める受験生もたくさんいるのだが、中には、親が文化祭での見るべき点を誤り、志望校の選択を狭めるケースがある。今回は中学受験生の親側から見た「文化祭での注意点」について語ってみよう。
まず文化祭は「祭り」ということを忘れないようにしたい。「祭り=ハレの日」なのだ。普段の状態とは違う「高揚とした気分」の日であることが特徴になる。つまり、文化祭は、生徒のための「お祭り」という要素があるので、オープンスクールのように、受験生側が“おもてなし”される日ではないのだ。そこを読み間違えると、例えば、こういうことが起こるのだ。
保護者が「文化祭見学」で意識すべきポイント
舞子さん(仮名)は本命視していた男子校であるK学園の学園祭に出向いたところ、生徒たちが受験生、つまり息子には目もくれず、他校の女生徒への接客を重視していたので、ガッカリしたという。そして、それを理由に、K学園を志望校から外したそうだ。
男子校生徒にとっては、年に何回もない、同年代の女子と堂々と触れ合える貴重な1日なので、そりゃあ、小学生へのおもてなしの優先順位は落ちてしまうだろうとは思う。しかし「息子が軽視された」と感じて不快に思う母親もいるのだなぁと感じた。
ここで舞子さんが見るべきポイントは、我が子へのおもてなしの度数ではなく、生徒たちの青春指数だったのではないだろうか。文化祭で、中学受験生の親は、生徒たちの笑顔を見てほしい。生徒たちはその祭りをどれくらい真剣に楽しんでいるか? 仲間と協力し合っているか? 教師の介入度はどんなものか? 彼らは充実した生き生きとした顔をしているか? これらを生の生徒たちを見ながら感じることが、受験生親の仕事だと思う。
また、各教室を回っている内に、トラブル勃発という場面にも遭遇するだろう。ステージ発表の時間が押している、あるいは映像の音が出ない、展示品が壊れた、売り物に不備があった、人があふれすぎた長蛇の列など、プロではない中高生の手腕で運営されていることなので、トラブルが起こらないことはないのだ。もし、その光景を目にできたなら、彼らがその問題をどう解決しようとしているのかを見た方がいい。どのくらい冷静に振る舞い、知恵を出し合い、機転を利かせて、難局を克服しようとしているか? 彼らのポテンシャルが見られる絶好の機会になるからだ。「焼きそば焼くのに、どんだけかかるのよ! 時間かかりすぎ!」と怒っている場合ではないのだ。
https://www.cyzowoman.com/2019/10/post_253531_1.html
2019-10-13 07:00:00Z
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