コカインを摂取したとして、麻薬取締法違反の罪で起訴されたミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)被告(51)が4日午後7時すぎ、勾留先の警視庁東京湾岸署から23日ぶりに保釈された。黒のスーツに身をくるんだ瀧被告は「反社会的行為で迷惑と心配をかけた。誠に申し訳ない」と約30秒間にわたり頭を下げ続けた。同被告を乗せた車は報道陣とカーチェイスを繰り広げた後、都内の地下駐車場に姿を消した。

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瀧被告は午後7時すぎ、約200人の取材陣が待ち受ける東京湾岸署の正面玄関に現れた。黒のスーツ姿で、白いワイシャツに黒のネクタイ。そのいでたちは、同被告にとって初の主演ドラマだった「64」(NHKで15年4~5月放送)で演じた警察の広報官役の姿をほうふつとさせた。

小さく頭を下げると、3歩ほど進み出て、はっきりとした声で「このたび、私、ピエール瀧の反社会的な行為により、大変多くの皆様に、ご迷惑、ご心配をおかけしてしまいました。誠に申し訳ございません」と今回の不祥事をわびた。そして、深々と90度の角度まで頭を下げて30秒間、そのままの姿勢を保った。頭頂部は勾留前よりも薄くなったように見えた。

東京湾岸署に30人ほど集まったファンからは「前科があっても、へっちゃらだから」「頑張れ」などの声がかけられた。

瀧被告は頭を上げると、さらにもう1度頭を下げ、足早に歩き、2台止めてあった迎えの車のうち後方の黒いワゴン車に乗り込んだ。その際にも、そばにいた警察官に深々と頭を下げた。23日ぶりにみせたその表情からは、やつれた様子は感じさせなかった。まるでドラマのワンシーンのような“保釈劇”だった。

その後、瀧被告を乗せた車は、午後7時10分すぎに東京湾岸署を出発。フジテレビ脇を過ぎ、首都高速に乗り、レインボーブリッジを渡り、都心方面に向かった。報道陣が追い掛ける中、車は千代田区内のビル地下駐車場に入った。その後、弁護士事務所に向かったとみられる。

東京地検は2日に起訴し、弁護人が3日に保釈請求。この日午後1時ごろ請求が認められ、同5時過ぎに保釈保証金400万円が納付された。

起訴状によると、瀧被告は3月12日ごろ、東京都内のマンション一室で、コカインを吸引したとしている。また、同19日には、瀧被告にコカイン若干量を譲り渡した疑いで、20年来の友人の通訳業田坂真樹容疑者(48)が逮捕された。