週刊少年チャンピオン(秋田書店)の創刊記念日である本日7月15日に、東京・秋葉原UDXで行われた「週刊少年チャンピオン 創刊50周年大感謝祭」にて、「弱虫ペダル」の
渡辺は壇上に上がるなり、「今日は新開隼人の誕生日ということで」と、着用した新開Tシャツを客席に見せたあと、武川と2人で「バキューン!」ポーズ。さっそく歓声を浴びた。司会の
自転車マンガ執筆の提案に、渡辺は「自転車はあくまで趣味だから、趣味を仕事にすると面白くなくなるかも」という理由で断ったというが、それでも「1回描いてよ」と頼まれた渡辺が描いたのは、女の子が主人公の自転車マンガ。渡辺はそれまで女の子が主人公の作品を多く描いていたこと、さらにチャンピオンにはすでに曽田正人の「シャカリキ!」という自転車マンガがあったことから、女性マネージャー目線による作品という、「シャカリキ!」とは別路線のものを描きたいと提案した。この作品については渡辺は「これは1年ぐらい前に読み返してみたら、結構いい話で自信もあった。結局はボツになったけど、『よくこれをボツにしたな』っていうぐらい(笑)」と笑った。その後、渡辺と武川に加え、当時の編集長だった沢考史も交え食事をする機会があり、「そこで沢さんから『少年誌なんだから男の子を主人公に描こうよ』って直球でまともなことを言われて(笑)。『そっスね』って」と納得し、描き直したとのことだ。
続いて「弱虫ペダル」初期についても秘話が明かされる。渡辺が「弱虫ペダル」の前に「電車男」のコミカライズを担当しており、その主人公が小さな壁を一歩一歩乗り越えていくというキャラクターだったことから、「そういう主人公をもう1回描きたい」という思いで、小野田坂道というキャラクターが誕生したそう。坂道はロードバイク未経験で、連載当初はママチャリに乗っていることから、渡辺は「1巻の表紙は坂道がママチャリに乗ってる表紙にしましょうって武川さんに言ったんですよ」と当時を振り返り、これには向も「当然、そうなりますよね」と同意。しかしこれには武川が反対としたと言い、その理由は「1巻の書影は、延々と残るんですよ。マスコミの方とかに取り上げていただく際には、どうしても1巻の書影になるもので。だから坂道が将来活躍すべき、理想のビジュアルを1巻で出さないといけない」という理由で、1巻の表紙には坂道がロードバイクに乗っている姿が描かれ、ママチャリに乗る坂道は裏表紙に配されたことが明かされた。
これには渡辺も「武川さんはそこをロジックで言ってくれる。マンガ家は感覚でマンガを作ってしまうし、感覚で言うと(1巻の表紙は)ママチャリだったんですけど、『将来こういうふうにロードバイクに乗りますよ』っていうプレゼンをやっていかないと商品は動かないよ、っていう話をロジカルに聞かせてもらったことで『それは正しいな』と納得した」と振り返った。
このエピソードを聞いた向が「おふたりはゴールデンコンビ感がありますね」と振ると、渡辺は「でも武川さんは結構、血も涙もなく切るんですよ(笑)。マンガ家としてキャラクターを動かしたくなって、わちゃわちゃとキャラクターを動かすネームを作ると、それを読んだ武川さんが『こことここはいらないね』って(笑)。もっと丁寧な言い方ですけど」と武川の編集術を語る。さらに「武川さんは最初にめっちゃ誉めるんですけど、『ちょっと気になることが何箇所かあって』って言われて話を聞くとその結果、『8割ダメじゃん』となる(笑)。この人、すごい話術だなって。マンガ家としてネームをやり直すのはカロリーを使うことなので、最初の褒めで気持ちを上げてくれるのは大事」とその手腕を褒め称えた。
2人のやり取りを見ていた向の口からは、「おふたりは1対1で向き合っていて、それこそ生涯担当と言いますか……」と、直前に行われたトークショーで、板垣恵介が前編集長の沢考史との関係を表現したフレーズ「生涯担当」が飛び出す。これを受けた渡辺は「そうですね、生涯担当です」と乗っかり、武川も「やった、いただきました」と笑顔を見せていた。
なおコミックナタリーでは週刊少年チャンピオンの創刊50周年を記念し、武川新吾編集長による対談連載を全4回で実施。現在、週刊少年サンデー(小学館)の市原武法編集長、週刊少年マガジン(講談社)栗田宏俊編集長、週刊少年ジャンプ(集英社)の中野博之編集長との対談を公開中だ。このほか前任者であるチャンピオン9代目編集長・沢考史との対談も公開予定。関連する特集記事
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https://natalie.mu/comic/news/339809
2019-07-15 13:22:00Z
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