現在、『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』の8作品、合計400枚が自由にダウンロードできる。著作権法では、個人のホームページやブログ、SNSに、他人の著作物を許可なく掲載することを禁じているが、今回、ジブリが提供する画像については自由に利用できるというわけ。
実は、TOKYO FMほかで放送中の『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』(毎週日曜 後11:00〜11:30)で8月9日・16日の2週にわたって、「ジブリと著作権」をテーマにトークしており、その中で「著作物はいろんな人が使いやすい環境に本来あるべき」という持論を語っていた鈴木プロデューサー。
法律で著作者を守ることも大事だが、ライセンスビジネスとは別の観点から、「著作物は、誰かが読んで、見て、聞いてくれないと意味がない。常に世の中の人に楽しんでもらい、話題に上がる、それが一番重要。作った人のものだけど、作った人だけのものじゃない」という。
例に挙げていたのは『火垂るの墓』(1988年、高畑勲監督)。1967年に初版が発行された野坂昭如氏の原作は、ジブリが映画化を企画した頃には絶版の危機にあったらしい。絶版になると書籍の現物が流通しなくなるため、当該書籍を書店で注文しても入手できなくなり、やがてこの世から消えていくことになる。映画化という著作物の利用によって、野坂氏の原作はいまも流通して広く知られており、作品も、作家も、長く生きつづけることになった。
鈴木プロデューサーは「たった20年でそういうことが起きた。いまから準備をはじめたいんですよ。ジブリのいろんなキャラクター、その他の著作物に対して、みんなが使いやすい環境作る。でないと消えていっちゃう、その恐ろしさです」と訴えていたのだ。
昨年、宮崎駿氏が『風の谷のナウシカ』が歌舞伎化を承諾したのも、同じ考えによるもの。また、コロナ禍の今年5月、WEB会議などで利用できる壁紙を提供して話題になったが、「みんなが知っているから話題になる。誰も知らない作品だったら喜ばないし、誰も使わない」と鈴木プロデューサー。ジブリの過去作品は「もう支えてくれた、見てくれた人のものだん。みんなへの恩返し」と、今回の場面写真の提供につながるような発言をしていた。
「常識の範囲でご自由に」といっても、現行法を無視して好き勝手やっていいということではない。法律は遵守しつつも、「そう目くじらたてなくてもいい領域があるんじゃないの?」というのが鈴木プロデューサーの考え、ただ作品を貶めるような「誹謗中傷はやめてね」と呼びかけていた。
なお、「ジブリと著作権」をテーマにした回のほか、『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』はポッドキャスティングで聴くことができる。
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■スタジオジブリ
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2020-09-20 05:01:00Z
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