自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕、釈放された伊藤健太郎(23)の主演映画「十二単衣を着た悪魔」の公開記念舞台あいさつが7日、都内で行われた。

製作、配給のキノフィルムズ関係者は、伊藤が黒木瞳監督(60)からの電話に号泣して謝罪するなど反省し、被害者との間で示談の話が進んでいることを明らかにした。またこの日、主演予定だった舞台「両国花錦闘士」の降板も発表された。

   ◇   ◇   ◇

舞台あいさつ後、取材に応じたキノフィルムズの関係者は、伊藤の弁護士らが10月29日の逮捕後、早い段階で被害者側と接触したと明かした。一方、伊藤は警視庁東京湾岸署の留置場の中で謝罪文を自筆し翌30日の釈放前に弁護士を通じて同社と黒木に渡した。「私が未熟で、こんな事件を起こして、すみませんでした」などと書かれていたという。

黒木は逮捕当日に報告を受けた際、驚き、怒ったが「健太郎が1人で留置場にいると思ったら、かわいそう」とも語ったという。自身が番組を持つニッポン放送に貼られたポスターを見て一目ぼれし主演に抜てき。台本にないキスシーンを撮影現場で伊藤だけに伝え、現場で熱を入れた演出までした。それだけに「もし時間があれば、会いに行きたい。弁護士さんに言ってもらえないか」と対面まで希望したという。

釈放された30日夜、黒木は伊藤の携帯電話に電話して「こんなことを起こして良くなかったのよ。あなた、ダメですよ」などと厳しく叱った。その上で「これからのことがあるんだから。やっぱり周りの人がいるんだから頑張っていこう。これからも応援しています」と励ました。伊藤は「すみません、すみません。ありがとうございます」と大泣きしたという。

現在、伊藤は自ら関係先への謝罪行脚を続けているという。事故後、自分に関する報道が出る度に涙するとともに反省し、周囲に感謝する日々を送っているという。被害者側との話も進めており、同関係者は「示談の話がずいぶん進んでいるようです」と説明した。【村上幸将】