松永は、三好氏の家臣から大和一国の支配を任されるようになり、大和の豪族・筒井順慶(駿河太郎)との対立しながらも、織田信長軍の一員として朝倉・浅井軍との戦いや本願寺攻めなどに参加。ところが、筒井に大和の守護の座を与える信長(染谷将太)の、家筋を重んじる態度が許せないと離反。しかし、信長軍の猛攻を受け、居城・信貴山城に自ら火を放って自害する。
第40回のサブタイトルは「松永久秀の平蜘蛛(ひらぐも)」。「平蜘蛛」とは、松永が大事にしていた天下一の名品と名高い茶釜。信長はこれを喉から手がでるほど欲しがっていた。松永は自分が死んだらこの「平蜘蛛」を光秀に託すといい、その言葉どおり光秀のもとに「平蜘蛛」が届けられる。それを受け取り、光秀は「これは松永久秀の罠だ」と不敵に笑ったのだった。
光秀はいったいどんな罠だと悟ったのか。同じインタビューで池端氏は「『平蜘蛛』の茶釜はそれ自体に意味があります。松永が伊呂波太夫に託した言葉にあるように、『それを持つ者は誇りを失わぬ者、志高き者、心美しき者』だということです。その平蜘蛛を松永は光秀に渡した。そこには2つのメッセージが込められています。『光秀、お前が麒麟を呼ぶんだよ』、そのためには『信長とは縁を切りなさい』と…。伊呂波から平蜘蛛を受け取ったときに、光秀はこれらのメッセージも同時に受け取ったのです」(以下、同じ)と解説。
この「平蜘蛛」をめぐり、光秀と信長の間ではヒリヒリ、ヒヤヒヤするようなやりとりが繰り広げれらた。信長に「平蜘蛛」の行方を聞かれ、光秀は知らないとウソをつく。信長が忍びを使って松永を監視していた、と明かしても光秀はウソをついた。
「そこには、信長に対する後ろめたさも、ためらいもあるが…渡さないだろうと思ったんです。比叡山の焼き討ちでは女、子どもまでも殺し、三淵(藤英)も腹を斬らされて、身内さえも殺していく。それを目の当たりにした光秀は、信長に松永が一番大事にしたものを『はい、ここにあります』とそう簡単に差し出すはずはない。松永も自身の死をもって光秀を試している。『信長にウソをつけよ、ここで平蜘蛛を渡したら、お前は一生2番手のままで終わるぞ』と。光秀はその意をくんでいるから、ウソをつく。きっと光秀と松永は気持ちが通じ合っていたのだと思います。ふたりは一番の友だち、親友だったのではないかと」(池端氏)。
松永は本作の第1回から登場。光秀にとって初めての旅となった堺で、目的の鉄砲を調達してくれた人物だった。実は、この第40回の「平蜘蛛」をめぐるエピソードを思いついたとき、「すべてがつながったと思いました。僕としては大発見だった」と池端氏は語っている。
続けて、「光秀に鉄砲を調達してくれる、おもしろい人物として第1回から松永久秀を登場させました。そのときは、これからふたりは友だちになっていくんだろうなという予感くらいしかなかったけど、平蜘蛛のエピソードを思いついた瞬間に、光秀にとっての松永、その本当の意味が構築されました。光秀が心理的に変わっていく、信長や義昭を支える2番手の立場から自身が自立する転換点を、平蜘蛛を使って松永が仕掛けたということです。そういうことができる人物がほかにいるかというと、これが意外にいない。仕掛け人としては、松永は最高の人物だと思います」(池端氏)。
第36回「訣(けつ)別」(12月13日放送)で光秀は、将軍・足利義昭(滝藤賢一)では“麒麟は呼べない”と思い、信長を選ぶ。しかし、かつて「大きな国をつくろう」と語りった信長も、期待はずれだったと言わざるを得ない。
「彼の人の殺し方をみると常軌を逸しているし、家臣に対する扱いも到底納得できるものではない。まわりにいる者たちはみんな、次は自分の番かもしれないと疑心暗鬼だったろうし、肉体的にだけでなく精神的にも疲弊していたと思います。しかも絶えず戦、戦、戦で、それをおもしろがっているようにも見える。そんな信長をそばで見ていた光秀が『この人には人徳がない。この人の下にいても決して平和な世は望めない』と考えるようになっても不思議ではないですよね」(池端氏)。
第40回の最後で、光秀は伊呂波太夫(尾野真千子)に「信長様を帝(みかど)がいかがご覧なのかおたずねしたい」と頼む。
「きっと帝は信長のことを評価していないはずだと光秀は感じていて、それを会って確かめたかった。そして、もし自分が政権を取ることになれば、帝がそれを許されるかどうかの心証を得たかったのではないか。(中略)武家の棟梁(とうりょう)である将軍・義昭と帝。そのふたりに背を向けられた信長が穏やかな世をつくれるはずがない。この回は、やがて光秀が本能寺へと向かうきっかけになる回だと思っています。本能寺への導火線に火がついた。そして、それを仕掛けたのは松永久秀なのです」(池端氏)。
伏線として、第39回で最愛の妻・熙子(ひろこ/木村文乃)にも「麒麟を呼ぶ者が、あなたであったなら』と言われていた光秀。今後について、池端氏は「第41回から第44回の最終話まで、これまでの戦国ドラマとは違う視点で時代を見るという醍醐(だいご)味が凝縮されています。そして物語は、本能寺に向かって一気に加速していきます。光秀の視点で描くと、本能寺の変はどのように映るのか? どのような意味を構築できるのか? 信長の視点とは違う、歴史的な視点とも違う本能寺が見えてくるはずです。そこを、楽しんでいただければと思います」と呼びかけている。
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2021-01-10 13:36:18Z
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