将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太棋聖（王位＝18）が渡辺明名人（棋王・王将＝37）の挑戦を受ける、「第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局」が6日、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われる。前日の5日、両者は現地入り。対局会場の検分や会見など、前日の恒例行事をこなした。

渡辺より先に会見に応じた藤井は、「今までにないくらい忙しさだったが、結果が出て、成長できた1年だった」と、前期の初タイトル獲得からを振り返った。昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う緊急事態宣言の発令で、4月上旬から約2カ月、対局が延期された。解除になって日程がバタバタと決まった。6月2日に挑戦者決定戦準決勝、4日同決勝、8日に5番勝負第1局が始まった。

「昨年は挑戦が決まってすぐタイトル戦だった。意識することなく臨めた。今回は自分なりに準備してきた。コンディションを整えて気持ちを高めていければと思います」と言い切る。

渡辺に挑んだ前期と違い、今期は初防衛がかかる。できれば、最年少での九段昇段。勝敗次第では、1992年（平4）1月に屋敷伸之現九段が第57期棋聖戦で達成した19歳7日の最年少初防衛記録も更新できる。「防衛は意識せずに臨めれば」とかわした。

相手は現在、最強の挑戦者。3冠を堅持して勝ち上がってきた。「作戦が巧みという点で一日の長がありますし、充実されている。途中苦しい場面でも粘り強く指されて勝っており、手ごわいです」と分析する。

序盤からの駒組み、形勢判断、読みなど自ら課題を見つけてここまで来た。「後れを取らないよう、しっかり考えて対応していきたい」。自分の力を試されるシリーズが始まる。【赤塚辰浩】

◆第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負日程

◇第1局　6月6日、千葉県木更津市「龍宮城スポホテル三日月」

◇第2局　6月18日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」

◇第3局　7月3日、静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」

◇第4局　7月18日、名古屋市「亀岳林　万松寺」

◇第5局　7月29日、新潟市「高志の宿　高島屋」