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【立田敦子のカンヌ映画祭】フランス人監督が描く、日本人の映画が豊作!|特集|Culture|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン) - フィガロジャポン

カンヌ映画祭2日目、サイドバー的存在の「ある視点」部門が開幕した。今年のカンヌは、メインのコンペティション部門に濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が選出されて注目を集めている。また「ある視点」部門のオープニングは、第二次世界大戦終戦後もフィリピンのルバング島のジャングルに潜伏し、29年後、生還した元日本兵・小野田寛郎を題材にした『Onoda』(原題)である。

『Onoda』(原題)の監督は、フランスのアルチュール・アラリ。諏訪敦彦監督の『ライオンは今夜死ぬ』(2017年)にも出演した俳優でもあり、『汚れたタイヤモンド』(2016年)で監督デビュー。今回は、そんな彼がメガホンを取る待望の第二作だ。日本の映画人とも交流があり、冒険をテーマにした作品を撮りたいとストーリーを探していたところ、フランスでも当時ニュースとして知られていた小野田寛郎について父親から聞いたことが起点になったという。サバイバル映画であることには違いないが、戦争そのものというより、小野田の体験を通して、孤独、悲劇、友情、不条理といった普遍的なテーマを掘り下げている。この映画は、かなりの傑作といっていい。

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 『ONODA(原題)』2021年秋公開 ©2021映画『ONODA』フィルム・パートナーズ(CHIPANGU、朝日新聞社、ロウタス)

また、フランス人監督による日本人をテーマにした作品が今年はもう1本ある。パスカル=アレックス・ヴァンサンによる今敏監督についてのドキュメンタリー『Satoshi Kon, l'illusionniste』(原題)だ。

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パスカル=アレックス・ヴァンサン監督による今敏監督のドキュメンタリー『Satoshi Kon, l'illusionniste』(原題)

『美輪明宏ドキュメンタリー 黒蜥蜴を探して』(2010年)を監督するなど、日本映画や芸能に造詣が深いヴァンサン監督だが、フランスの大学で教鞭もとっている。大学の生徒たちの間で、2010年に46歳の若さで逝った今敏監督作品が愛されていることを知ったことが、このドキュメンタリーの製作に繋がった。ダーレン・アロノフスキー監督の『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000年)において『パーフェクトブルー』(1998年)が引用されたり、『パプリカ』(2006年)がアニメーション映画ながらヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に選出されるなど、今監督は国際的な評価も高く、さらに躍進が期待されていた。「今監督には先見の明があり、彼が10~20年前に描いていたことが、まさにいま現実で起こっている」と、ヴァンサン監督は語る。

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筒井康隆の小説を原作に製作された今敏監督の『パプリカ』© Sony Pictures Home Entertainment

『Onoda』(原題)も『Satoshi Kon, l'illusionniste』(原題)もそう遠くない時期に日本でも公開される予定だが、外側からの視点で再解釈される「日本人」の肖像は、私たち日本人にとってこそ興味深いものではないだろうか。

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2021-07-12 08:00:13Z
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