女優の広末涼子氏とレストランsioのオーナーシェフ鳥羽周作氏による不倫騒動が、終息する気配もなく大炎上しています。騒動を受け、キリンホールディングス<2503>や日本和装ホールディングス<2499>は、イメージキャラクターだった広末涼子氏を広告から外しました。広末氏は無期限の謹慎処分が決定。億単位の違約金が発生するとの声も上がっています。
その一方で、レストランsioは通常通り営業を続けています。しかし、鳥羽氏が関わっていた仕事はレストランの運営だけではありません。料理の腕前だけではなく、企画力の高さや語りの上手さが際立っており、PR大使や飲食店、食品メーカーなどとのコラボレーションメニューや商品開発に携わっていました。
キャンドル・ジュン氏が開いた会見では、直接謝罪しない鳥羽氏の姿勢を批判する一幕もありました。負のイメージが染みついてしまった鳥羽氏は、意外な企業にも影響を与えそうです。この記事では以下の情報が得られます。
・鳥羽氏が関わっていたコラボメニューと商品
・コラボメニューの効果
飲食業界の常識を塗り替えてきた鳥羽氏
鳥羽周作氏は仙台大学体育学部卒業後、小学校の教員になったというシェフとしては異色の経歴を持っています。32歳で料理人を目指し、都内のレストランで修行を積みました。調理師学校にも通っていません。
常識外れの経歴にも関わらず、2018年7月にオープンしたsioは、ミシュランガイド東京で2020年から3回連続一つ星を獲得。レストランとしてはトップクラスの実績を残しました。
常識の枠に収まらないその経歴は、名声を得た後の鳥羽氏の活動そのものにもよく表れています。
YouTubeチャンネル「鳥羽周作のシズるチャンネル」は登録者数49.3万人を数え、128本もの動画を上げています。通常、星つき有名レストランのシェフが、レシピや料理の作り方を無料で公開することはありません。
鳥羽シェフは数々のメディアでインタビューに応えていますが、価値観の根底には「できるだけ多くの人に美味しいものを食べてほしい」という考え方があります。これは料理人としては当たり前かつ単純なもので、飲食店のチェーン展開をする企業の多くに同様の理念が掲げられています。
しかし、鳥羽氏は店舗数の拡大よりも、YouTube、SNS、書籍などを通じて食に関する情報を届けることに注力します。鳥羽氏は、シェフのビジネスモデルそのものを変えたいとインタビューで答えており、厨房以外で稼ぐことに興味があると語っています。
その思いが目に見える形となったのが、2021年4月に博報堂グループの博報堂ケトル(東京都港区)をパートナーに迎えて設立した会社シズる(東京都渋谷区)。この会社はレシピ開発、店舗開発、販売戦略、パッケージデザインなどを扱っており、会社設立後に飲食・食品会社とのコラボレーションメニューや商品が目立つようになりました。
鳥羽氏とのコラボレーションメニューで話題となったのが、すかいらーくホールディングス<3197>が運営するガストの『感動ハンバーグコース』。2022年11月から期間限定で販売しました。ファミリーレストランがコースを提供するという常識外れの発想で、税込み1,869円という高単価も業界の枠に収まらないものでした。
すかいらーくはコロナ禍からの立ち直りに遅れており、2022年12月期第2四半期は、24億2,300万円もの営業損失(前年同期間は4億5,900万円の営業利益)を計上しています。
客数の減少に加え、原材料費や物流費の高騰が利益を圧迫。2022年10月にガストの一部店舗で主力メニューの『チーズINハンバーグ』の値上げに踏み切っていました。鳥羽氏がプロデュースした高単価のコースメニューは、主力メニューの値上げから消費者の目を逸らす狙いもあったものと考えられます。
『感動ハンバーグコース』を投入すると、客単価に好影響が起こりました。
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2023-06-22 21:22:47Z
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