映画「羅生門」「雨月物語」などに出演した女優の京マチ子さん(本名・矢野元子=やの・もとこ)が12日午後0時18分に、心不全のため、都内の病院で亡くなっていたことが14日、分かった。享年95歳。

生前の遺志により、石井ふく子さんら数名の立ち会いのもと、14日に密葬が行われた。東宝が、発表した。

密葬に参列した石井さんによると、数年前、京さんが元気なころに大好きなハワイに赴き、自ら手配した墓に入るという。

現時点でお別れ会の予定はない。

数々の映画のほか、舞台では「喜劇離婚」(80、85年)「大家族」(84年)「夕やけ小やけでまだ日は暮れぬ」(90、02年)などに出演。最後の舞台出演は06年9月公演の「女たちの忠臣蔵」で、瑶泉院役だった。

◆京(きょう)マチ子 1924年(大13)3月25日、大阪生まれ。36年に大阪松竹少女歌劇団に入り、49年に大映に入社。同年の映画「痴人の愛」で注目される。ベネチア映画祭グランプリを受賞した50年の「羅生門」(黒沢明監督)で主演を務め、その後もカンヌ国際映画祭で53年の「地獄門」(衣笠貞之助監督)がグランプリに輝くなど出演映画が数々の国際映画祭の最高賞を受賞したことで「グランプリ女優」と呼ばれた。56年にはアメリカの映画「八月十五夜の茶屋」にも出演。テレビは64年のフジテレビ系「あぶら照り」が初出演。好きな言葉は思いやり。趣味は乗馬、釣り、ゴルフ。