幻冬舎の見城徹社長が作家、津原泰水さん(54)の単行本の実売部数をツイッター上に公表した問題で、幻冬舎は23日、公式ホームページで「出版社として、作家の信頼性を著しく損なう言動であり、社長はじめ、社員一同、深く反省しております」として津原さんに謝罪した。【大村健一、待鳥航志/統合デジタル取材センター】
謝罪は「お詫(わ)び」と題し、見城社長と「社員一同」の連名で公開された。冒頭に「今、僕のツイッターが騒動を起こしています。これはひとえに僕の傲慢と僕の怠慢が引き起こしたものだと思っております」との見城社長のコメントを引用。これは19日に放送されたインターネットテレビAbemaTVの番組で見城社長が述べた言葉という。
実売部数の公表について「出版社内で留めておくべき内部情報を、見城が独断で公にしてしまったことに対して弁解の余地はありません」と説明し、「今後、作家のみなさま、読者のみなさまに対し誠意を尽くして、信頼を回復していけるよう鋭意努めて参る所存です」と締めくくっている。
津原さんは毎日新聞の取材に対し「まだ謝罪文を読んだばかりでなんとも言えないところもあるが、私の名前も入れて全面的な謝罪をしてくれた。そもそも幻冬舎の社員の方々に含むところは何もない。社長が企業を背負ってSNSで発信するならば、その影響力を鑑みる必要があるということを示した件だったと思う」と話した。
他方、幻冬舎の「お詫び」では、同社が出版した作家、百田尚樹さんの著書「日本国紀」への批判を津原さんにやめるよう働きかけていたことについては触れられていない。津原さんは「私はそもそも一読者として、剽窃(ひょうせつ)に関して(『日本国紀』を)批判してきた。そうした本を出版したモラルに関する謝罪しか求めていない。私への謝罪は別にいらないが、読者に対してしっかり謝罪してほしい」と話した。
見城社長は同社から刊行予定だった津原さんの文庫本の出版が取りやめになった問題をめぐり、16日に津原さんが同社から出版した本の実売部数をツイッターで公表。作家や編集関係者から批判されてツイートを削除し、20日に今後のツイートをやめる意思を表明していた。
https://mainichi.jp/articles/20190523/k00/00m/040/097000c
2019-05-23 07:12:00Z
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