映画「無頼」シリーズ、刑事ドラマ「西部警察」、などで知られる俳優渡哲也(わたり・てつや)さん(本名・渡瀬道彦=わたせ・みちひこ)が10日、肺炎のため都内病院で死去したことを14日、所属の石原プロモーションが発表した。78歳。「西部-」で演じた役柄から団長と親しまれ、石原裕次郎さん没後、石原プロを支えた。14日に家族葬が営まれた。喪主は妻俊子(としこ)さん。お別れの会は故人の遺志により行わない。

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石原裕次郎さんが1963年に設立した石原プロモーションは来年1月16日に看板を下ろし、事実上解散する。所属俳優のマネジメントを行う芸能部門の業務が終了することで、「石原プロ」の名前は消える。裕次郎さんは「自分が死んだら即会社をたたみなさい」と遺言していたと、まき子夫人は明かしている。渡哲也さんは常に裕次郎さんの遺言を考えていたという。

関係者によると、渡さんは「自分の目が黒いうちに、石原プロモーションの看板を裕次郎さんにお返ししたい」と常々考えていたそうだ。舘ひろし(70)は「渡には引き際の美学を考えていたと思います」と話している。渡さんは来年1月16日の事実上解散を見届けることはかなわなかったが、道筋を付けた。

俳優たちの今後については、若手の神田穣(25)はすでにエヴァーグリーン・エンタテイメントに移籍したが、舘や神田正輝(70)らは正式決定していない。渡さんに誘われて石原プロに入社した舘は、最近も「俳優としての原点は渡がいたからこそ。それがブレたら、自分が自分でなくなってしまう。渡に言われる通りにします」と言い切っている。会社とのしての方向は見えているが、所属俳優の今後は不透明な部分も多い。

石原プロモーションの所属俳優が「石原軍団」と呼ばれるのは、渡さんが「西部警察」で演じた大門刑事部長が引き入る刑事たちが「大門軍団」と呼ばれていたことによる。