KNNポール神田です。
『半沢直樹の視聴率現象』がふたたび起きている…。
通常、ドラマの視聴率は、初回放送時を最高の母数として、回を重ねるごとに、視聴率は、維持できるか低下するというのが一般常識。しかし、半沢直樹シリーズに関しては、2013年の放送時も、回を重ねるごとに話題をあおり、最終回は42.2%を記録した。W杯や紅白歌合戦並みの視聴率である。
半沢直樹のヒットの理由は7年前にも書いたとおりだ。しかし、新シリーズは、より専門性を増してきた。
■現在のファンダメンタルズでパワーアップ!
2013年の半沢直樹は原作のとおりバブルや氷河期世代の時代背景のファンダメンタルズで構成されているが、今回の2020年での新シリーズでは、その後の平成時代の低迷した日本の病巣をドラマチックに描いている。何よりも、いずれの回も、ニュースなどで話題になった事件をモチーフにしているから、そんな事象案件があったことくらいは理解できる。しかし、実際にその『事件』の本質的な部分は複雑怪奇なのでわかりにくい…。しかし、半沢直樹では、顔と顔がひっつきそうなくらいの演出と、半沢直樹の決め台詞の際の、水平パンニングしながらのズーム演出の口上語りが、まさに『スーツ歌舞伎』となっている。そんな過剰な歌舞伎演出によって、ニュースの理解度の粒度を高めてくれる。もちろん、歌舞伎役者陣の大量投入が『スーツ歌舞伎』をさらに盛り立ててくれている。
■『ネットで話題』だけでなく、『ネットで専門化』される『半沢直樹』
7年の年月を経て、『半沢直樹』をとりまく、SNS環境も大きく変革してきている。
若年層においての音楽はもはや、テレビやラジオではなく、YouTubeでのプロモーションに、TikTokでのリ・クリエーション、サブスクリプションにおけるチャートリスニングと変化している。CDの販売だけではなく、TikTokによってリ・クリエーションされてバズる要素が多い。そう、TikTokによって自分の映像に楽曲のパワーが加味されることによって、結果として楽曲のヘビーローテションで記憶に残りサブスクリプションでもより再生機会を生み出している。
『半沢直樹』も1時間というコンパクトな時間の中に、緊張感のある屈辱と倍返しのジェットコースターを演出する。その中にはかなり専門的な話題を盛り込んでいるので、『半沢直樹』を見終わった後に、気になる言葉やハッシュタグを検索するという行動を取る人が少なくないだろう。そう、『半沢直樹』のドラマの中では、実際に起こりうる問題をとりあげているので、経済ドラマの入門としても秀逸なのだ。
そして、何よりもそのネタが専門的に解説されたSNSによる解説記事や解説動画でさらに、ドラマを見終わった後からも、なぜ、そのようなことが起きたのかの分析が多くなされているので理解がしやすくなる。そう、TikTokで若年層がアーティストに粘着性が高まるのと同様に、半沢直樹を見て調べるとことで、経済イシューへの知的欲求が高まるのだ。そう、ネットでさらに『半沢直樹』は専門化され、深堀りされて、理解が深まるという教育ドラマ化しているのだ。とくに、ビジネスマンにとっては知っておいて損のないことだらけだ。
■『半沢直樹』シリーズへの秀逸な深堀り
TBSの『半沢直樹』のサイトでも『ドラマ用語解説』がなされているが、これでは当然、物足りない…。
当然、セキュリティの専門家などの記事でも深堀りがなされている。
ヤフー個人ニュースの大元隆志さんの記事だ。
半沢直樹で学ぶセキュリティ : Part1 メールによる情報漏えいを検知する
半沢直樹で学ぶセキュリティ : Part2 6桁のパスワードは何秒で解読可能か?
半沢直樹で学ぶセキュリティ : Part3 クラウド上の隠し部屋を検知する
さらに、企業のなかの人による買収案件の解説も興味深い…。
「半沢直樹:電脳雑技集団」の敵対的買収を科学する
https://note.com/murajuku/n/nfc5f59503917
1話~4話までの電脳雑技集団のTOBに関する詳細の分析がなされている。『半沢直樹』を見て、ネットで深堀りするだけでもファイナンスの知識が深まっていくことだろう。
さらに、ドラマのストーリー解説もチャート関係図で解説されることによって理解が深まる。
そう、『半沢直樹』はネット上で専門化されて理解度を増しながら、新たな平成時代の問題点を浮き彫りにし『忖度なし』の倍返しでロスジェネ世代へのエールを送り続ける。
実際に『半沢直樹』のようなアクションがとれなくとも、想いを心に秘めるだけでも、行動がすこしづつ正しく変革していくことは間違いがないだろう。
第5話でも、再建計画の機密情報が、都合よく、はしょられたまま謎の電子メールで社内に漏洩する。
通常は、プロバイダ責任制限法第4条に基づく情報開示請求 がなければ開示されない情報が、半沢直樹は、ソーシャルエンジニアリング によって情報を入手している。
twitterのアカウントもこのような内部的な情報漏えいのソーシャルエンジニアリングによってアカウントが乗っ取られた。
原作のテイストをベースを忠実に、現代的なプロセスをふんだんにちりばめている半沢直樹はツッコミどころが限りなくあり、ドラマの『リ・クリエーション』が展開される。それらが、ファンタジーでも恋愛でもなく、経済・金融・ITだからこそのツッコミだから為になることが多い。
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiQGh0dHBzOi8vbmV3cy55YWhvby5jby5qcC9ieWxpbmUva2FuZGF0b3NoaWFraS8yMDIwMDgxNy0wMDE5MzcxOS_SAQA?oc=5
2020-08-17 03:16:51Z
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