「なんでこうなるんだよ!」
『マイファミリー』(TBS系)第8話を観終わった今、誰もが温人(二宮和也)と同じ感慨を抱いたに違いない。第3話放送後の次回予告で流れた温人の絶叫シーンは、めぐりめぐって第8話ラストのために存在していた。
今度ばかりは白旗を上げざるを得ない。緻密に組み上がった物語のプロットとあらゆる文脈の可能性を読み込みながらプランを遂行する演者たち、表舞台の喧騒と水面下で進む事件の真相。圧倒的な脚本と演出によって現出した視覚体験、つまりこれこそがドラマなのだが、それを前にした時、言葉はあまりにも無力で貧相である。すべてがそこにあり作品自体が雄弁に語る状態で付け加えるものがあるとすれば、人間の創り出す営為への称賛とリスペクト以外にない。
東堂(濱田岳)は語る。友果(大島美優)を誘拐したのは5年前に誘拐された娘の心春(野澤しおり)を取り戻すため。狂言誘拐を疑われた妻の亜希(珠城りょう)は姿を消し、東堂の家族はばらばらになった。関係者による犯行は警察の汚点であり、報道協定によって情報公開がされないまま心春の事件は闇に葬り去られようとしていた。もう一度警察の目を心春の事件に向けさせるため、東堂は亜希の妹である鈴間(藤間爽子)を誘って友果の誘拐を計画する。模倣犯というやつだ。
劇場型犯罪として世間の注目を集める一方、警察を排除することで内側から自身がコントロールする。東堂のもくろみは成功したかに見えた。本当の犯人が介入してくるまでは。暴露本を出版し、事務所を構えた東堂の元にかかってきた非通知の着信。スピーカーから響く自動音声に5年前の記憶が脳裏によみがえる。心春を誘拐した犯人は、心春を返す代わりに優月(山崎莉里那)の誘拐を指示する。
「誘拐はもっとも卑劣な犯罪」とつぶやく東堂は良心の呵責に耐えながらも優月の誘拐を成功させ、温人の自宅に分け前の1億円を置いてくる。だが犯人の要求はそれで終わらなかった。犯人は阿久津の娘である実咲(凛美)の誘拐を告げて、東堂に身代金の受け取りと保管を命じた。言われるがまま金を運ぶ東堂だったが、誤算だったのは阿久津の妻・絵里(森脇英理子)がGPSを取り付けたこと。位置情報を追ってきた温人は隠し場所のトランクルームで鈴間と出くわし、東堂の関与を言い当てる。
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2022-05-29 21:00:51Z
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