ケリー・アン(シンガポール)、シャイマ・ハリル(東京)
創業者の故ジャニー喜多川氏の性加害問題で揺れるジャニーズ事務所で、新社長になることが発表された東山紀之氏についても、少年への性加害疑惑が取りざたされている。
東山氏も藤島氏と共に喜多川氏の性加害を謝罪し、経営に専念するために年内でタレント活動を引退すると述べた。
しかし会見では、東山氏による性加害行為の疑惑についても質問が相次いだ。
記者らは、元ジャニーズ Jr.による暴露本の内容について、繰り返し東山氏に質問した。本の内容は、同氏が少年たちの股間を足で刺激した、自分の性器を見せつけた、「僕のソーセージを食え」と発言したなどというもの。それについて東山氏は、「僕が性加害をしたのかということですか?」と聞き返した上で、「僕はしたことはないです」と返答。「事実ではないと思っています」、「ちょっとわかりかねます」とも述べた。
しかしその後、別の記者から「自身のセクハラ、パワハラに関連して」真実を語るよう促されると、「覚えてないことの方が、多くてですね、もしかしたらしてる可能性もあるし、もしかしたらしてないかもしれないし、ただやっぱりもちろん若気の至りがあったり、その時の自分の幼稚さであったりとか、そういうものもあったとは思うんですね。ただ記憶をたどっても、ちょっと覚えていないことも本当に多くて。僕もそうだと思うんですけど多分、いろんなことやってるんだと思います」、「記憶を呼び起こすのが難しい作業でもあったので、実際したかもしれないし、してないかもしれないというのが本当の気持ち」だとも述べた。
一方、喜多川氏による性加害については、「うわさとしては聞いていたが、私自身は被害を受けたことはない。受けている現場に立ち会ったことはなく、先輩たちからも後輩たちからも相談を受けることはなく、うわさには聞いていたが、自分から行動を起こすことはなかった。今後は反省を込めて対応していきたい」とした。
東山氏は同事務所の所属タレントで、東山氏はジャニーズ事務所の初期にスカウトされたタレントの一人。インターネット上では、東山氏と同事務所との数十年の関係から、社長就任を批判する声や、どのように事務所を変えていくのか、どうやってタレントを守るのかといった疑問の声があがっている。
東山氏は自身の社長就任について、「僕に資格があるかどうかは、これからみなさんに判断していただければ良いと思う」、「信頼を取り戻すのは大変なことだが、人生をかけて取り組んでいく」と述べた。
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8日には、被害を明らかにしているカウアン・オカモト氏が記者会見を開いた。「一番誰がつらいかといえば、自分の母親だ」と述べ、涙を見せた。
「母がどういう思いでこの出来事を聞いて、日々生きているか。母に言えなかったことはいっぱいあるし、そういう思いにはもうさせたくない」と、オカモト氏は話した。
東山氏の社長就任については、「誰も社長はやりたくないはず(中略)リスペクトしたい」と述べた。
一方で、喜多川氏は自分にエンターテインメントを教えてくれたと発言。「ジャニーさんを恨みきれないのは、グルーミングと言われてもある」とも述べた。
メディアへの大きな影響力
喜多川氏は、日本のエンターテインメント業界で最も影響力のある一人だった。ジャニーズ事務所は何十年もの間、Jポップの代名詞であり、多くの少年がスターを目指して事務所に入った。
しかし現在、この事務所は性加害者の名前を冠している。
7日の記者会見で東山氏は、社名をすぐに変えることはないと述べている。
喜多川氏をめぐっては、2019年に87歳で死去する前から性的搾取の疑惑がうわさされていたが、刑事事件として立件されることはなかった。その葬儀は国家的な行事で、当時の安倍晋三首相からも弔電が届いた。
週刊文春による連続報道や暴露本での指摘はあったものの、疑惑は公然の秘密とされ、日本の大半の主要メディアも長年触れてこなかった。
こうした動きが、外部の専門家からなる「再発防止特別チーム」による独立調査につながった。また、ジャニーズ事務所は5月、謝罪動画と関連の文書を自社サイトに掲載した。
8月に発表された調査報告書は、喜多川氏が60年にわたるキャリアの中で「長期間」性加害を行っていたことが認められると指摘。藤島氏の社長辞任や被害者への救済措置などを提言していた。
藤島氏は7日の記者会見で初めて、喜多川氏による性加害を認め、謝罪した。疑惑についても暴露本や雑誌記事があることは認識していたが、喜多川氏の権力はとても強く、「親族であっても物を申せなかったということが、弊社の歪なところだった」と述べている。
日本の芸能界に詳しいジャーナリストの松谷創一郎氏は、ジャニーズ事務所は日本の多くのメディアに多大な影響力を持っていると指摘する。
松谷氏は5月、朝日新聞に対し、テレビ局や雑誌の収入減がジャニーズ事務所のアイドルに視聴率を過度に依存する状況につながっていると話した。
たとえば同事務所は2019年、退所したタレントを出演させないようテレビ局に圧力をかけていたとして、公正取引委員会に注意されたことがある。
松谷氏は、問題の根本を解決しない限り、他のタレント事務所でも同じようなことが起こりうると付け加えた。
(追加取材:デレック・ツァイ、古川茜)
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2023-09-08 08:45:23Z
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