俳優の大泉洋が24日、東京・元赤坂の明治記念館で主演映画「ディア・ファミリー」(6月14日公開、月川翔監督)の完成報告会見を行った。IABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルの開発者と、その家族の実話を映画化。雨男で知られる大泉は「私にとってはデフォルトと言いましょうか。逆に幸先がいい」と豪快に笑った。(加茂 伸太郎)
冒頭、大泉の「気持ちのいい外で会見のはずだったんですが…」と嘆き節からスタートした。無情にも降りしきる雨。「私としましては安定の雨でございます。室内での会見となりました。私にとって、雨はデフォルトと言いましょうか。当たり前の状態。逆に幸先がいい。雨が降って当たり前なんだと。スタッフは『奇跡が起きて晴れたら、外で』と言っていましたが、そんな奇跡は起きないんだと。私のやる気と共に、雨脚は強くなっている(笑い)。大変幸先のいいスタート」と話し、笑いを誘った。
生まれつき心臓疾患を抱え、「余命10年」を宣告された幼い娘・佳美(福本莉子)。我が子を救うため、経験も知識もない状態からIABPバルーンカテーテルを開発した筒井宣政さん(東海メディカルプロダクツ前社長)と、その家族を描いた実話。
今作では宣政さんをモデルにした男性役で、娘の命を救いたい―という一心で医療器具の開発に挑んだビニール樹脂器具の町工場の経営者を演じた。自身もひとり娘(12)の父親。
「映画に出てくる佳美さんと同じぐらいの娘がいますから。この撮影をうけるとなると、非常につらい撮影期間が待っているなと思いました。(劇中で)佳美さんが『私の命はいいから、この技術をたくさんの人に使ってほしい』と言う。どうしたらこんなことが言えるんだろうという。この物語を強く知りたいと思いました。ただ、大切な娘が亡くなる話ではないと思いました。今、僕が演じる意義は大いにあるんじゃないかと思い、やりたいなと思いましたね」
IABPバルーンカテーテルとは心臓の働きが悪くなった時、その働きを助ける医療器具のこと。現在は心臓病で苦しむ17万人以上の命を助けている。大泉はクランクイン前、筒井さんの自宅で話をうかがい、役作りに反映させた。
「僕にはない(ものがあった)。全然僕にはない。僕にはないんだけど、僕の父にはあるなという感じ。世の中的に不自由があった時代ではない。選択肢がない時代に『やるしかないんだ』『なせばなるんだ』という精神。できないことは、ないんだよ。とにかく動くんだ、やるんだという強さを感じました」と回顧。撮影後の家族観の変化を聞かれ、「俺たちの送っている生活が当たり前と思っちゃいけないんだなと。日常を、大切に生きないといけないなと思いました。無駄な時間は一つもなくて、なあなあに生きてはいけないと思いました」と表情を引き締めた。
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2024-04-24 05:06:00Z
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